🪙 おかねと暮らし

夫の会社が倒産したけど、暮らしは変わらなかった話

2026.07.28

雨上がりの窓辺に置かれた、湯気の立つ湯のみと真っ白な封筒

「明日から来なくていいって言われた」

数年前のある日、夫がそう言いました。深刻な事故でも起こしたみたいな顔をしているのに、声だけは拍子抜けするくらい静かでした。勤めていた会社が倒産したんです。

正直、頭が真っ白になった時間は数分だけありました(汗)。でもそのあとは、思っていたより早く「じゃあ、まず何をすればいいんだっけ」に頭が切り替わりました。少し前からお金の勉強を自分なりに続けていたので、雇用保険の失業給付、いわゆる失業保険という制度があることと、倒産による離職はいわゆる「会社都合」になることだけは知っていたからです。

世帯は非課税相当になったはずですが、暮らしは変わりませんでした

うちはあの年、住民税が非課税相当の世帯になっていたはずです。それでも、子どもの習い事はいつも通り続けさせられました。贅沢ができたわけではありません。ただ、普段の生活のリズムを崩さずに済んだ、というのが一番の実感です。

これができたのは、うちが特別だったからではなく、単純に「会社都合の離職だと、失業保険の受け取り方がまるで違う」という制度の仕組みのおかげだったと、あとになって思います。

会社都合だったので、7日の待期のあとすぐ支給が始まりました

雇用保険には、誰でも共通の「待期期間」というものがあります。ハローワークで手続きしてから7日間は、どんな離職理由でも支給されません。うちもこの7日は同じように過ごしました。

ここから先が、会社都合と自己都合で分かれます。会社都合(倒産・解雇など、制度上は「特定受給資格者」と呼ばれます)には、この7日間のあとに追加でかかる「給付制限」がありません。だから待期が明けてすぐ、支給が始まりました。

もらえた額は、だいたい給料の6割くらいでした。それが約1年間続きました。焦って次の仕事を決めなくていい、という時間の余裕をもらえたようなものです。おかげで夫は転職活動をじっくり進めることができて、結果的に前より年収が上がる形で転職できました。

先に自分から辞めた同僚は、大変そうでした

同じ時期、会社の雰囲気がおかしいと薄々感じ取って、先に自分から辞めてしまった同僚が一人いたと聞きました。

会社が本当に倒産する前に辞めたので、その人の場合は「自己都合」の扱いになります。自己都合だと、7日の待期のあとにさらに「給付制限」という、しばらく1円も出ない期間が入ります。焦って条件のよくない職場に飛び込んで、きつい仕事を安い給料で始めることになった、という話を聞いたときは、他人事とは思えませんでした。

同じ「会社が危ない」という情報を先に知っていたのに、辞めるタイミングが違うだけで、その後の1年がこんなに変わるものなんだ、というのが今回いちばんの学びでした。

会社都合と自己都合、もらえ方はどう違うか調べました

うちの体感だけだと心もとないので、ハローワーク・厚生労働省の情報で確認した内容を並べておきます。

会社都合(倒産・解雇など) 自己都合
待期期間 7日間(共通) 7日間(共通)
給付制限 なし あり(原則1か月※2025年4月改正。5年以内に3回目以降の自己都合退職は3か月)
支給が始まる時期 待期7日後、すぐ 待期7日+給付制限のあと
所定給付日数の目安 最長330日(年齢・勤続年数による) 最長150日(年齢・勤続年数による)
基本手当の給付率 賃金日額のおおむね45〜80% 同左
国民健康保険料 軽減あり(前年の給与所得を30/100とみなして計算、要申請) 軽減なし

出典:厚生労働省・ハローワークインターネットサービス(2026年7月確認)

会社都合と自己都合の失業保険の受け取り方を比較した図。会社都合は待期7日のあとすぐ支給が始まり最長330日。自己都合は待期7日のあとに給付制限が入り、支給開始後は最長150日。

うちの場合、給付率がだいたい6割だったのは、賃金日額の水準からすると特別なことではなく、この45〜80%の範囲に収まる、ごく普通のことだったんだとあとで分かりました。約1年間もらえたのも、所定給付日数の上限(最長330日)に近い日数を受け取れる条件に、たまたま当てはまっていたからのようです。

「先に辞めない」だけで、こんなに違うとは思っていませんでした

制度を調べる前は、失業保険なんてどこも似たようなものだろうと思っていました。実際は、離職理由が「会社都合」か「自己都合」かだけで、給付が始まる時期も、もらえる期間も、国民健康保険料の扱いまで変わってきます。

会社の雰囲気が悪くなってきたとき、「危ないなら早めに自分から辞めた方がいいのでは」と考えたくなる気持ちは、正直よく分かります。うちの場合はたまたま夫が最後まで会社に残っていた形になり、それが結果的に幸いしました。

制度は変わるので、必ず公式で確認してください

ここに書いた日数や割合は、うちが経験した範囲と、調べた時点での公式情報にもとづくものです。給付制限の期間や所定給付日数は法改正でたびたび見直されていて、実際に2025年4月にも変更がありました。ご自身の状況にあてはめるときは、必ずハローワークで最新の条件を確認してもらえたらと思います。

心の余裕があったから、慌てず転職活動ができたんだと思っています。次は、同じ時期にうちが私立高校の学費でどう助けてもらったかを書こうと思っています。

夫の会社が倒産した年、子どもは私立高校に通えた話

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