
うちも一度、就学援助に落ちています。
子どもが2人だけだった頃に申請して、届いたのは非該当の通知でした。そのときは「まあ、うちの収入じゃそうだよね」で終わらせてしまって、なぜ落ちたのかを考えることもしませんでした。
でも今なら思います。あそこで理由を調べていたら、もっと早く通っていたかもしれない、と。
というのも、就学援助の基準は、思っていたよりずっと入り組んでいたからです。収入だけで決まるわけでもありませんでした。
この記事では、落ちる理由として制度上ありうることと、落ちたあとにできることを書きます。うちが3人目で通った話は別の記事にあるので、そちらもあわせてどうぞ。
基準を決めているのは、国ではなく市区町村です
まず、ここが出発点になります。
就学援助のうち、生活保護を受けている「要保護」ではないほうの「準要保護」は、認定の基準を市区町村がそれぞれ決めています。国の補助金は2005年度(平成17年度)に廃止されていて、いまは各市町村の予算でやっている制度です(出典:文部科学省「就学援助制度について」、2026年8月確認)。
だから、隣の市では通る家庭が、うちの市では落ちる。そういうことが普通に起こります。
「よその家が通ったのに、うちは落ちた」という話を聞いても、それはお住まいの自治体がちがえば当たり前のことなんですね。
いちばん多いのは「生活保護基準の1.3倍前後」
とはいえ、まったくバラバラというわけでもありません。文部科学省が全国の市町村に調べたデータがあります。
回答した1,765市町村のうち、認定基準として使われているものは次のとおりでした(令和3年度調査・複数回答)。
| 認定基準 | 自治体数 | 割合 |
|---|---|---|
| 生活保護の基準額に一定の係数を掛けたもの | 1,328 | 75.2% |
| 児童扶養手当の支給 | 1,308 | 74.1% |
| 生活保護法にもとづく保護の停止または廃止 | 1,285 | 72.8% |
| 市町村民税の非課税 | 1,281 | 72.6% |
| 市町村民税の減免 | 1,067 | 60.5% |
| 国民健康保険料の減免または徴収の猶予 | 1,063 | 60.2% |
| 国民年金保険料の免除 | 1,060 | 60.1% |
出典:文部科学省「就学援助実施状況等調査結果」(令和3年12月公表)、2026年8月確認
どれも7割前後。つまり、ひとつの基準だけで決めている自治体はむしろ少数派で、多くは「これか、これか、これに当てはまれば」という組み合わせで見ています。
ここ、わたしは誤解していました。所得の数字ひとつで機械的に切られていると思っていたので。
そして、いちばんよく使われる「生活保護の基準額に係数を掛けたもの」の倍率が、こうなっています。
| 倍率 | 自治体数 | 割合 |
|---|---|---|
| 1.1倍以下 | 148 | 8.4% |
| 1.2倍以下 | 222 | 12.6% |
| 1.3倍以下 | 726 | 41.1% |
| 1.4倍以下 | 50 | 2.8% |
| 1.5倍以下 | 173 | 9.8% |
| 1.5倍超 | 9 | 0.5% |
出典:同上。割合は回答市町村数1,765に対するもの
いちばん多いのが「1.2倍を超えて1.3倍以下」で、726自治体。文科省の資料にも、この区分がもっとも多いと書かれています。
ただし1.1倍以下という厳しめの自治体も148あります。1割弱です。住んでいる場所で、ここまで幅があるということですね。
落ちる理由として、ありうること
ここから先は、複数の自治体の公式ページで確認できた内容です。
所得が基準を超えている
いちばん基本的な理由です。ただ、ここにも幅があります。
北九州市の公式ページには、基準となる所得額はあくまで目安で、世帯構成などによっては目安以下でも認定されないことがあるし、逆に目安を超えていても認定されることがある、という趣旨の記載があります(2026年8月確認)。
岡山市の公式ページにも、障害者手帳や療育手帳をお持ちの方、その他特別な事情がある方は、目安を超えていても認定になる場合があるとあります(2026年8月確認)。
つまり、所得の数字だけで自動的に決まっているわけではありません。ここは知っておいて損がないところです。
世帯の数え方で、思わぬ人の所得が足される
これが、わたしがいちばん「なるほど」と思った落とし穴です。
新潟市の公式ページには、同一生計の家族の範囲に、単身赴任中の保護者や、住民票のうえで世帯分離している祖父母・叔父・叔母なども含む、という趣旨の記載があります(2026年8月確認)。
北九州市も、保護者と同じ住所に住んでいる方全員の所得の合計で見る、という書き方です(2026年8月確認)。
住民票を分けていても、同じ家で暮らしていれば合算される。二世帯で暮らしている家では、おじいちゃんの年金が世帯の所得に足されて基準を超えてしまう、ということが起こりえます。
自分たちの収入だけを見て「これなら通るはず」と計算していると、ここで外れます。
前年の所得で判定される
もうひとつが、時間のズレです。
北九州市の案内では、判定に使うのは前年1月から12月の所得です(2026年8月確認)。
つまり、去年まで働いていて今年になって仕事を辞めた、という場合。いま現在いちばん苦しいのに、判定に使われるのは働いていた頃の所得です。
制度のしくみとして、こうなっています。ただ、ここには救いもあって、それが次の話です。
落ちたあとにできること
「一度落ちたら、その年はもうだめ」と思っていませんか。わたしはそう思っていました。
でも、そうではありませんでした。
年度の途中でも申請できます
川崎市、寝屋川市など複数の自治体の公式ページで、年度当初だけでなく、年度の途中でも申請を受け付けていることを確認しました(2026年8月確認)。
寝屋川市の場合、通常の受付は4月1日から4月30日ですが、生活保護の停止や廃止、学資負担者の死亡、離婚、他市からの転入といった事情があれば随時受け付ける、という案内になっています。
ひとつ気をつけたいのは、認定されても、支給の対象になるのは原則として申請した月からだという点です。川崎市の案内にもそう書かれています。
さかのぼってはもらえません。だから、事情が変わったら、思い立った月のうちに動くほうがいいということですね。
家計が急に変わったときは、相談してみる
文部科学省の令和3年度の調査では、家計が急変した世帯の認定について、1,765市町村のうち82.5%(1,456市町村)が、従来の基準で認定する、新しい基準を整備した、相談があれば個別に対応する、のいずれかを選んでいます。
8割を超えています。
ただ、この調査はコロナ禍を踏まえた対応について聞いたものなので、平時の家計急変にどこまで同じ扱いをしてもらえるかまでは、この数字だけでは言えません。そこは正直に書いておきます。
それでも、相談する窓口はある。まずはそう考えていいと思います。
家族構成が変わったら、出し直す
うちが通ったのは、これでした。3人目が生まれたあとに出し直したら、結果が変わりました。
世帯の人数が増えれば、基準になる金額も上がります。しくみを考えれば当たり前なんですが、当時のわたしは「一度落ちた家は落ちる家」だと思い込んでいました。
その話は、こちらに詳しく書いています。
高校生には、別の制度があります
就学援助は小中学生の制度です。高校生には高校生等奨学給付金という別の制度があります。
対象は、生活保護を受けている世帯と、住民税非課税の世帯(家計急変で非課税相当になった世帯を含む)。令和8年度の国の基準では、非課税世帯の全日制で、国公立が年額14万3,700円、私立が15万2,000円です(出典:文部科学省「高校生等奨学給付金」、2026年8月確認)。
申請の窓口は都道府県で、学校を経由することもあります。小中学校の就学援助とは別に申し込む必要があるので、お子さんが高校に上がるときは、切り替えを忘れないようにしたいところです。
落ちても、それで終わりではありません
最後に、いちばん言いたいことを。
非該当の通知が届くと、けっこうこたえます。自分の家の状態を数字で突きつけられた気がして、二度と出したくないと思ってしまう。
でも、基準は自治体ごとに違って、世帯の人数で動いて、前年の所得で見られていて、年度の途中でも出し直せる。そういう制度でした。
一度の非該当は、その年のその条件での結果でしかありません。
条件が変わったら、また出してみてください。うちはそれで通りました。
なお、ここに書いた数字や条件は2026年8月に確認したものです。基準は自治体ごとに違いますし、年度によっても変わります。実際に申請するときは、必ずお住まいの市区町村か、学校の窓口で確認してください。
就学援助でどんな費目が助けてもらえるのかは、こちらにまとめています。
公立の小中学校で実際にいくらかかるのかは、こちらです。